円柱は「箱の中の楕円」で考える
まずは、円柱を描く時の考え方を説明します。
円柱は、そのものを最初から描こうとせず、初心者の方は、まずは立方体の要領で直方体を薄く描いてから上面、下面におさまる楕円を描くと、うまくいくことが多いです。
上面と下面が逆パースになったりしがちな初心者の方は、最初のうちは、この方法で楕円のパースをしっかりとれるようにしましょう。
楕円の描き方|きれいに描く3つのコツ
楕円を描くとき、守りたい約束が3つあります。
初心者のいちばん多い失敗が、楕円の左右の端をレモンのように尖らせてしまうこと。円を押しつぶしても端は必ずなめらかな丸みを保ちます。ここが尖ると、とたんに不自然になります。
箱の中心を通る縦線を先に引いておき、その左右に楕円が同じふくらみで接するように描きます。片側だけふくらんだ楕円は、傾いて見えてしまいます。
楕円の中の短軸は、円柱がまっすぐ立っているなら垂直になります。この短軸の向きと、円柱の中心を貫く軸の向きは、必ずそろえます。ここがずれると、フチだけ傾いた、妙な円柱になります。
アイレベルからの距離で、楕円の「開き」が変わる
円柱で大事なのが、この点です。
楕円は、アイレベル(目の高さ)に近いほど平たくつぶれ、
アイレベルから遠いほど大きく開いて(丸く)見えます。
たとえば、目の前のテーブルにコップが置いてある場面。コップの口はアイレベルより下にあるので、上から見下ろすぶんだけ楕円が開きます。そして口よりさらに下にある底のほうが、アイレベルから遠いぶん、もっと大きく開いた楕円になります。円柱の上下二つの楕円は、同じ開き具合にはなりません。アイレベルから遠い側の楕円のほうを、少しだけ大きく開いて描く。これを意識するだけで、円柱がぐっと本物らしくなります。
円柱の描き方|4ステップの手順
では実際に描いてみましょう。




ここが落とし穴|楕円の中心は、円の中心ではない
さて、今回いちばん伝えたいのがここです。
教室でも、多くの生徒さんがなんとなく描いてしまって、なんとなく狂う…。その原因の多くが、ここにあります。
楕円の真ん中は、円の中心と思っていませんか。実はそれ、少しだけ違います。
パースがかかると、手前側は自分に近いので奥の面積より広く逆に、奥側は、自分より遠いので、少しだけ小さくなるんですね。つまり、楕円をデッサンする時は、中心点を若干奥へ置くことです。ここが混同されやすい、最大のポイントです。
※なぜ、この違いが大事なのか
「わずかなズレなら気にしなくていいのでは?」と思うかもしれません。でも、このズレは実際の絵にちゃんと効いてきます。たとえば、円柱の高さを表す中心軸を立てるとき。上下の楕円の「見た目の中心」どうしを結んでしまうと軸がほんの少し傾いたり、上下のバランスが狂ったりします。正しくは、上下それぞれの楕円の「本当の中心どうしを結びます。円柱のデッサンがなんとなく浮いて見えるとき、理屈を知っておくと、自分の絵を見直すヒントになります。
円柱・楕円の描き方でよくある失敗
・楕円の端がとがっている。
円柱がいちばん不自然に見える原因です。端は必ず丸く。
・上面下面の楕円が同じ大きさ。
アイレベルから遠い側を、少し大きく開いて描き分けます。
・短軸が傾いている。
まっすぐ立った円柱なら、楕円の細い方向は垂直。中心軸と向きをそろえます。
丸いものは、すべて円柱の親戚
円柱が描けるようになると、描けるものが一気に増えます。缶やコップはもちろん、少しふくらませればボトルや花瓶に、細く長くすれば木の幹や腕に。円柱を横に倒せば、丸太やペン、ソーセージも同じ理屈で描けます。上下の楕円の大きさを変えれば、植木鉢のような台形の器にも応用できます。丸いものを前にして「どう描こう」と固まっていたのが、「これは円柱だな」と見えるようになる。この感覚が、観察の質そのものを変えてくれます。
楕円は、頭で理解するより手で覚える部分が大きいので、何度か描いてみるのがいちばんの近道です。